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自由の讃歌 [1960年代の洋楽]

ケネディー・LP.jpg

『SING ALONG WITH J・F・K』(ケネディと歌おう)
『LET US BEGIN BEGUINE』「邦題:星影のビギン(自由の讃歌)」は、私が小学生の頃に父が聴いていた事から、現在も私の記憶に鮮明に残る名曲です。黄金の1960年代のアメリカ文化と、J・Fケネディに憧れた団塊世代の方にとっても、とても懐かしいレコードだと思います。

このアルバムは、音楽プロデューサーのジョージ・アトキンスと、ハンク・レヴィンの手により、今でいう「サンプリング」の手法で、1961年1月20日に行われた大統領就任式における、「ニュー・フロンティア精神」を説いた、就任演説のテープから主要なスピーチの文句をピックアップし、コーラス曲と絡ませ、フランク・シナトラの「リプリーズ・レコーズ」が1963年に制作したものです。ケネディの肉声が聴ける、歴史的な驚異の企画盤といえます。

日本では、ケネディが暗殺された翌年1964年1月に、『LET US BEGIN BEGUINE』「邦題:星影のビギン(自由の讃歌)がシングル・カットされ、リプリーズ/日本ビクターから発売されました。B面は『ALLIANCE FOR PROGRESS BOSSA NOVA)』(邦題:世界は一つ )です。EP盤、LP盤共に入手困難で、CDは発売されていません。

Half Dollar Coin.jpgケネディの肖像を使用した50セントCoin。'60年代後半に1セントコインをコイン・ローファーにはさんで履いたところ、"靴にお金を・・・"と、母に叱られました。

J・F・ケネディ「時代を変えた就任演説」

今日のわれわれの勝利が、政党の勝利ではなく自由の勝利だということを祝おう。それは、始まりとともに終わりを象徴しており、変化とともに再建を示している。なぜなら、一と四分の三世紀近くも前にわれわれの先祖が定めたものと全く同じ厳粛な誓いを、みなさんと全能なる神の前で私は誓ったばかりであるからだ。

世界は大きく変貌している。人類は、あらゆる形の貧困とあらゆる形の人間の生命を根絶させる力を手にしたからである。それにもかかわらず、われわれの祖先がそのために血をながしてきた独立戦争の信念は、いまだに世界中で論争の的になっている。それは人間の権利は国家が気前よくくれたものではなく、神の手によって授けられているという信念である。われわれは今日、その最初の独立戦争の継承者であることを忘れてはならない。

今、この時、この場所からこの言葉を伝えようではないか、敵味方を問わずに。たいまつはアメリカの新しい世代にひきつがれたと。その世代は、今世紀に生まれ、戦争にさらされ、厳しく苦い平和にきたえられて、われわれの祖先の遺産をほこりに思い、母国でも世界中でもこの国がいつも守ってきて、今日われわれが守っているこれらの人権が旧態依然と取り消されるようなことを目撃したり、認めたりはしない世代である。

敵であろうが味方であろうが、全ての国に知らせよう。われわれは自由が生きのび勝利をおさめるためになら、どんな対価も支払い、どんな重荷にも耐え、どんな困難にも立ち向かい、味方を支持し、敵には対抗するということを。われわれはこのことを固く誓うし、それ以上の用意もある。

文化と精神的な起源を一にする古くからの同盟国に対して、われわれは信頼にたる友としての忠誠を誓う。われわれが一致団結すればなしえないことはほとんどないし、たもとを分かつとすれば、何事もなしとげられないのだ。われわれは、互いに争いばらばらになって、どうやって強力な挑戦に立ち向かえばいいというのだろう。われわれが自由主義世界への仲間入りを歓迎する新しい国々には、このことを誓おう。植民地支配という一つの形が終わって、単により厳しい鉄の専制が置きかわるわけではないということを。われわれは、これらの国々が常にわれわれの見解に賛同してくれるとは期待していない。ただわれわれは、これらの国々が自国なりの自由を見出してくれることをいつも強く望むものである。過去にはこういうことがあったのも覚えておいてほしい、つまり愚かにも虎の威をかり権力を志向するものは、けっきょく自滅するということを。地球の大部分を占めるほったて小屋や村落に住む人々で、みんなが悲惨な足かせをはずせるように苦闘する人々には、その自助努力に対して、どれほどの時間がかかろうとも最大限の力添えを誓おう。それは共産主義者がそうするかもしれないからでも、かれらの票が目当てなわけでもない。それが正しいことだからだ。もし自由な社会が貧しい大多数のものを救えないようであれば、少数の金持ちをも救うことはできないのである。

われわれと密接な関係にある国境の南の国々に対しては、特別な約束をしよう。言葉を実行に移し、進歩のために新しい同盟をむすび、自由な人々や国々が貧困のくさりから解き放たれる手助けをすると。しかしこの平和的な革命の希望が、敵対する勢力のえじきになるようなことがあってはならない。全ての近隣諸国は、われわれがアメリカ大陸のどこにおいても、他国への侵略や政府の転覆といったことに協力して対抗するということを知っておいてほしい。そしてその他の国々も、この地域においてはわれわれは自分のことは自分でするということを知っておいてもらいたい。

世界中の独立国の集まり、つまり国際連合に対しては、われわれは支持の誓いを新たにする。国際連合は、戦争という手段が平和という手段よりはるかに利用された時代においては、われわれの最後の、そして最大の希望である。そしてわれわれは国際連合を単にののしりあいの場にはせず、新しく弱小な国への保護を強め、国際憲章のおよぶ地域を拡大するのを支持する誓いを新たにするのである。

最後に、われわれに敵対しようとする国々に対しては、誓いではなく要求をすることとしよう。両陣営で新たに平和の探求に着手しようという要求を。科学によって束縛をとかれた暗黒たる破壊力が、計画的にあるいは偶然に、全人類を自己破壊の渦にのみこむ前に。われわれは、敵対する国々に弱みをみせて挑発してはならない。われわれの戦力が疑いなく十分であるときのみ、われわれはその戦力を利用することが決してないことを疑うことなく確信できる。大きくそして力をもつ2つの陣営は、この現在の路線を歩むかぎりどちらも安心できない。両陣営は現代兵器の過大なコストに苦しみ、死をもたらす原子力が着実に拡散していくのにまさに恐怖をおぼえながらも、人類の最終戦争を押しとどめている不確かな恐怖のバランスをくずそうと互いに競争しているのである。

われわれは新たに着手しなければならない、両陣営とも礼儀正しいふるまいは弱さのしるしではなく、誠実さは常に証明しなければならないということを念頭において。われわれは恐怖ゆえに交渉してはならない、ただ交渉することを恐れてもいけない。両陣営で、われわれを分裂させている諸問題を言い争う代わりに、何がわれわれを団結させるのか探索しようではないか。まず第一に、両陣営で武器の査察と管理についての真摯で精密な提案を練り上げようではないか。そして、お互いの国々を崩壊させるような絶対的な力を全ての国の完全な管理の下におこうではないか。科学の恐怖ではなく、科学の驚異に訴えかけようではないか。われわれは共に宇宙を探検し、砂漠を征服し、疫病を根絶し、深海を開発し、芸術や商業を振興しようではないか。両陣営とも地球上の全ての人の心にイザヤの言葉を宿らせよう。「重荷を下ろし...虐げられたものを自由にしよう」と。

そしてもし協力の足がかりが疑惑のうずまくジャングルを押し戻すことができたなら、両陣営は新しい力のバランスではなく、新しい法に基づいた世界を協力して作りあげることができるだろう。新しい法に基づいた世界では、強者も公正であり、弱者が保護され、平和が保たれるのである。

これはこれからの100日でなしとげられることではないだろう。いやこれからの1000日でなしとげることもできないかもしれない。いやこの政権の間に、もしくはこの地球上でのわれわれの生きている間でさえなしとげられないかもしれない。しかし着手しようではないか。

われわれのとる道が最終的に成功するか失敗するかは、わたし以上に、あなたがた市民の手にかかっているのだ。この国の建国以来、アメリカ人の各世代は国家に対する忠誠を証明するために召集されてきた。その召集に応えた若いアメリカ人の墓は世界中にある。今トランペットの音がわれわれを再び召集している。武器は必要だが、武器をとれという召集ではない、戦ってはいるが、戦うための召集ではない、長い夜明け前の闘争の重荷を肩に背負えという召集なのである。いつも希望をもって喜びを抱き、苦難に耐えながら、人類の共通の敵、専制、貧困、疫病、そして戦争そのものに対して闘うという重荷を。これらを敵にして、北も南も、東も西も、壮大な世界的な同盟をわれわれは作れないものだろうか? その同盟は全人類により実りある生活を保証してくれるだろう。あなたがたもこの歴史的な努力に身を投じてみないだろうか?

世界の長い歴史の中で、自由が最大の危機にさらされている時に、自由を守る役割を与えられてきた世代はごく少ない。私はこの責任からしりごみするものではない、私はそれを歓迎する。われわれの誰かが自分の立場を、他の人もしくは他の世代と交換するだろうなどということを私は信じない。こうした努力にわれわれが捧げるエネルギー、信念、献身こそがわれわれの国家を、そして国家につかえるわれわれを照らしだすのである。そしてその明かりから発せられる輝きこそが、本当に世界を照らしだすのである。

そして、わが同胞のアメリカ人よ、あなたの国家があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたがあなたの国家のために何ができるかを問おうではないか。わが同胞の世界の市民よ、アメリカがあなたのために何をしてくれるかではなく、われわれと共に人類の自由のために何ができるかを問おうではないか。

最後に、あなたがアメリカ市民であろうが、世界の市民であろうが、われわれがあなたに求めるのと同じ高い水準の力と犠牲をここのわれわれに求めて欲しい。良心を唯一のたしかな報酬とみなし、歴史がわれわれの行動に最終的な判断を下してくれることを信じて、神の祝福と助けをもとめながらも、この地球上では神の仕事はわれわれ自身でなしとげなければならないということを肝に銘じて、われわれの愛すべき国を導くために前進しよう。


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コメント 19

ハゲアメリカーノ

前にもお話したかもれませんが、ローファーにはダイムをはさんでいました(^^;
それにしても、円高ドル安!!なんとかなりませんかね。
by ハゲアメリカーノ (2009-12-06 10:51) 

tateichi_m

shinさん、今晩は。niceありがとうございます。
by tateichi_m (2009-12-06 18:30) 

tateichi_m

アメリカーノさん、今晩は。
1990年代初めのバブル危機の頃も円高があり、1ドル90円台がありましたが、
株価の下落はなかったので、私なんかは何の危惧感もなく、
毎年サンフランシスコへバーゲンあさりに行っていました。
民主党はデフレ宣言を出す一方で、具体的な対応を示さないで、不必要な発言を重ねて、
民主党の政策は基本的に円高志向のイメージを定着させているようにみえます。
by tateichi_m (2009-12-06 18:35) 

tateichi_m

oiraさん、今晩は。niceありがとうございます。
by tateichi_m (2009-12-06 18:35) 

tateichi_m

トメサン、今晩は。niceありがとうございます。
by tateichi_m (2009-12-06 18:36) 

tateichi_m

ぼんくらオヤジさん、今晩は。niceありがとうございます。
by tateichi_m (2009-12-06 18:36) 

の

ケネディが暗殺された年、小学5?か6年生でしたデスゥ~(^^)
by (2009-12-07 01:53) 

tateichi_m

の さん、今晩は。
ケネディが暗殺された昭和38年、私は小学3年生でした。
の さんは2、3歳先輩ですね。
by tateichi_m (2009-12-07 02:34) 

ナツパパ

ケネディー大統領暗殺のニュース、今でも忘れられません。
彼があのまま大統領でいたら...というのは、想像力を刺激しますね。
by ナツパパ (2009-12-07 08:53) 

mwainfo

こんにちは。
今のオバマ大統領のスピーチのスタイルが、ケネディー大統領の演説と重なって見えます。繁栄の時代に、犠牲を説いたあの名演説、「国が何をしてくれるかではなく、国に対して何ができるかを問いたまえ」は鮮烈な印象でした。民主党を含めて、国旗、国歌に反対する輩たちに聞かせてやりたいです。
by mwainfo (2009-12-07 11:52) 

tateichi_m

ナツパパさん、今晩は。
暗殺がなければ、ケネディの存在が世界を大きく変え、ベトナム戦争の終結も早かったはずです。享年46歳でしたので、本当に残念でした。
by tateichi_m (2009-12-07 17:38) 

tateichi_m

miopapaさん、今晩は。niceありがとうございます。
by tateichi_m (2009-12-07 17:38) 

tateichi_m

tacit_tacetさん、今晩は。niceありがとうございます。
by tateichi_m (2009-12-07 17:39) 

tateichi_m

sungenさん、訪問とniceをありがとうございます。
by tateichi_m (2009-12-07 17:39) 

tateichi_m

mwainfoさん、今晩は。
私は靖国参拝に反対する輩にも、異論があります。国旗、国歌に反対するのは、日本人として論外です。
ケネディを知らない世代に向けて、別サイトで以前からケネディを記事にしていました。こちらでも、追記に大統領就任演説全文を追加しました。
by tateichi_m (2009-12-07 17:41) 

tateichi_m

ぼんぼちぼちぼちさん、今晩は。
niceありがとうございます。
by tateichi_m (2009-12-07 19:40) 

tateichi_m

ジャンボ セカンドさん、今晩は。niceありがとうございます。
by tateichi_m (2009-12-08 00:08) 

ogu

1963年の大晦日にポータブルラジオで聞いて今でも印象に残っている「自由の賛歌」の情報を楽しく読ませていただきました。
団塊の世代の人しか知らないと思っていたのですが、当時小学生ということは私よりも5歳前後若い様ですがすばらしいですね。

by ogu (2010-12-30 10:29) 

tateichi_m

oguさま、コメントをありがとうございます。
当時小学3年生でしたが、父と中学2年だった姉が聴いていたのを私も耳にしておりました。
ケネディが暗殺されたときのテレビニュースを見ていて、姉が写したケネディのモノクロ写真も残っています。
by tateichi_m (2010-12-30 20:19) 

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